2016/07/23 20:45
南米ペルーというと、日本では世界遺産のマチュピチュ遺跡が有名ですが、実はペルーの国土の60%以上がアマゾン地帯に属しています。アマゾン河流域にはペルー全体で約30万人、60部族もの先住民が暮らしています。シピボ族(shipibo)はそのうちの一部族で、各流域にいくつもの集落を作って暮らしており、その中でも工芸品として泥染めの布を作り続けていることで知られるのが、サンフランシスコ村のシピボ族の女性たちです。
アマゾンの泥染めは、ペルーアマゾンの先住民族による伝統工芸で、今も細々と受け継がれている希少価値の高い染め物です。シピボ族の泥染めは、木の皮の樹皮を煮出した染料に含まれるタンニンと、森の奥地から採取する特別な泥に含まれる鉄分が結合して、フリーハンドで描かれる幾何学模様のデザイン部分のみを黒く酸化発色させて作られています。
シピボ族の泥染めは、ベースが茶系のものと白系のものに大別されますが、木の皮の樹皮を煮出した茶色の染料で布全体を染めた後に泥でデザインを描く下地が茶系のものと、木の皮の樹皮を煮出した染料でデザインを描いた上から全面に泥を塗りつけ、最後に泥を洗い落とすモノトーンの白系と、実はこの2種類は全く異なる工程を経て作られいます。
泥染めはアマゾン地域の他にアフリカや日本の奄美大島などでも行われていますが、シピボ族の泥染めはタンニンと泥の鉄分の酸化反応が強く、幾何学模様をを描き込む最中から黒色に反応していくようです。その柄は素朴でプリミティブですが、現代のグラフィックデザインようにも見え、野趣と緻密さ、グラフティのような強いインパクトとちょっとトボけた柔らかい表情、相反するイメージが同居する、不思議な趣きのあるものになっています。
*ウコンなどで一部着色したものや白系でも茶系でもない珍しい紫グレーのような微妙な色合いのものも
一口にシピボ族の泥染めといっても、作る方によって柄や染の良し悪し、丁寧さに違いがあるようで、のROUND ROBIN では、長くペルーに在住し、リマでシピボ族の暮らしや文化を紹介するショップを運営し、シピボ族の方々とも家族ぐるみのお付き合いのある、AYAさんにご協力いただき、シピボ族の泥染めのなかでも非常にクオリティの高いものを選ばせていただいています。
AYAさんは実際にシピボ族の方々とやり取りを重ねながら、あらたな生地や染を試し、さらに泥染めを現代生活に取り入れやすいようにと、様々なサイズや用途、加工などを取り入れて、シピボ族の文化や歴史を守ろうという活動をされています。
ROUND ROBIN では、そんなAYAさんの思いも大切にしながら、現代のインテリアやライフスタイルに加える新たなスパイスとして、シピボ族の泥染めをみなさまにご紹介していきたいと思っています。